巻線型誘導電動機は、構造的にはかご形誘導電動機の回転子鉄心に三相巻線を巻いて二次巻線とし、
この各相巻線の三つの端子は軸に取り付けられたスリップリングを介し、カーボンブラシによって二次電流を、
外部に導くような構造となっています。

 

下記のような条件下において、かご形三相誘導電動機に代わって使用されています。

• 始動時に大きなトルクが必要なとき
• 負荷が非常に大きく、かご形誘導電動機では始動不能な場合
• 頻繁な始動・停止・可逆運転が要求され、かご形誘導電動機では熱的負荷が大きい場合
• 電源容量が小さく、始動電流による始動時の電圧降下が問題になる場合
• 速度制御を必要とする場合

主要部品は、三相かご形誘導電動機と同じです。
異なるのは、回転子（ローター）にも巻線（コイル）がある点です。
巻線型モーターの場合は、固定子コイルを「一次巻線（一次コイル）」、回転子コイルを「二次巻線（二次コイル）」と呼ばれたりします。

 

 外部への電流の流れを変化させることにより、モーターの特性を変化させることが可能です。
回転磁界と回転子に発生する誘導電流の相互作用を変化させて制御しており、これを二次抵抗制御といいます。

 

なお、三相のスリップリングを短絡させると、三相誘導電動機と同じ特性となります。

 

 

 

 

始動時	運転時
始動時には外部の二次抵抗器で抵抗値を増やし、 トルクを高め、始動電流を抑えています。	回転速度が上がるにつれ抵抗値を小さくし、 トルク特性を変化させます。   二次抵抗器を短絡（ショート）させた場合は、 かご形三相誘導電動機と同じトルク特性となります。

 

※すべりが１（100％）の状態は、誘導電動機（非同期モーター）が停止している状態

すべりが0.1（10％）であれば、実際の回転速度は同期速度の90％（1-0.1＝0.9）という意味です。

 

 

実際に回転子の抵抗を可変させるのは二次抵抗器で、カーボンブラシを介して接続されており、
その二次抵抗器の抵抗値を可変することによって、始動電流を制限すると同時に大きな始動トルクを発生させるなど、
電動機の特性を変化させることができます。

 

巻線形誘導電動機の場合、スリップリングとブラシがあるため保守点検は、こまめにおこなう必要があります。

 

振動が大きいとブラシがチャタリングを起こし、接触不良から火花を発生して摺動面を著しく荒損するので注意する必要があります。
また回転子コイルがカーボン汚損することが多いため、定期的なオーバーホールをおすすめします。

 

また巻線形誘導電動機では、回転子で生じる熱損失を外部の二次抵抗器で放出できるので、電動機の過熱を避けることができます。

 

また始動特性が良好なこと、速度制御をおこない易いなどの利点があるため、
「クレーン用モーター」「ポンプ用モーター」として用いられています。