私たちの生活に欠かすことのできない「モーター」その中でも、産業用のモーターを中心にメンテナンスをおこなっています。私たちの身近なモーターとはどんなものなのかを説明していきます。電動機は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する回転機械です。

モーターとは

 

私たちの生活に欠かすことのできない「モーター」
その中でも、産業用のモーターを中心にメンテナンスをおこなっています。

 

SEWGMカットモデル SEW直交ギヤードモーターカットモデル

 

 

電動機の種類と用途

 

 電動機は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する回転機械です。
おおまかに分類すると以下のようになります。

この中でも代表的なモーターのそれぞれの特色をご紹介します。

 

 

三相誘導電動機の種類

かご形三相誘導電動機
巻線型誘導電動機
減速機付電動機(ギヤードモーター)

 

(上記以外にもさまざまな種類があります)

 

 

電動機の軸受の種類と適用

軸受部には主に、
すべり軸受(メタル)と、ころがり軸受(ベアリング)があります。

 

すべり軸受(メタル)とは・・・

すべり軸受は、流体である油膜の滑り摩擦を利用したもので、軸を油膜(オイル)でささえています。
主に大容量電動機(写真は1050kW)に用いられます。

 

 

・軸と軸受の隙間に薄い油膜を形成し、その滑り接触を利用した軸受で、寿命も長く、
音も静かな特徴があります。

 

 軸受裏金の表面には柔らかくて摩擦係数の少ないホワイトメタルが使用されることが
一般的です。ホワイトメタルの素材は、[Sn(スズ)・Pb(鉛)・Zn(亜鉛)]などから
構成される軟質金属のことです。

 

運転前には必ず油面計で軸受の油量を確認し、運転する必要があります。

 

 
ころがり軸受(ベアリング)とは・・・

軸受摩耗の低減を図った軸受で、軸をベアリング内のボール(玉)、コロ(円筒)でささえています。
主に中小容量電動機に用いられます。

 

 

・転動体の形によって玉軸受(6***など)とコロ軸受(NU***など)に分類されます。

 

玉軸受(ボールベアリング)

コロ軸受(ローラーベアリング)

負荷荷重(許容荷重) 軌道面に点接触のため負荷能力は低い 軌道面に線接触しているため負荷能力は高い
特性 転がり抵抗が少ない高速回転に適する 玉軸受より抵抗は大きい

 

 玉軸受(ボールベアリング)は内輪と外輪の転動体としてボールを納め、ボールの転がり摩擦を利用した軸受です。
標準電動機に最も用いられます。

 

 コロ軸受(ローラーベアリング)は内輪と外輪の転動体としてコロを配置し、コロの線接触による転がり摩擦を利用した軸受です。
玉軸受より高荷重に耐えるので、中容量電動機や立形電動機の負荷側軸受として用いられることがあります。

 

 また潤滑法で分類すると、長期にわたってグリースの詰替え必要としない
密封式(語尾にZZやLLB(VV)など)と定期的にグリースを補給する開放式があります。

 

 標準電動機では37kW程度より小出力なモーターは密封式、
それ以上の出力のものは開放式(グリース注入タイプ)が採用される場合が多いです。

 

運転中に定期的な聴音と、グリス注油タイプのベアリングの場合は、
定期的なグリスアップが必要とあります。

 

トップランナーモーターとは

トップランナー
トップランナー基準とは、モーター製造事業者に、
省エネ製品を製造するように基準値を設け、

 

クリアするように課した「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の中の、
機械器具に係る措置のことです。
要するに、省エネルギーなモーターを製造しなさいというルールのことです。

 

身近な例では、自動車にも「平成○○年度 燃費基準達成車」の
ルールもありますが、その電動機(モーター)版です。

 

 

 

 

 

 

トップランナー制度の対象電動機

モーターで消費される電力は、世界全体の消費電力量の40%を占めると推定されます。
トップランナーモーター円グラフ

出典:地球環境保護・省エネルギーのためにトップランナーモータ 日本電機工業会

 

そのため、より広範囲での高効率化を図ることが地球温暖化への環境対策の上でも重要であり、

 

下表のモーターがトップランナーの対象となります。

単一速度三相かご形誘導電動機
出力 0.75kW~375kW
極数 2・4・6極対
電圧 1000V以下
周波数 50Hz・60Hzおよび50Hz/60Hz
使用の種類 S1(連続定格)または80%以上の負荷時間率をもつS3(反復使用)

 

ただし特殊な用途、市場での使用割合が極度に小さいもの、技術的な測定方法
評価方法が確立していないものにに関しては除外となっています。(以下に記載)

 

トップランナー制度の対象電動機
  • 特殊絶縁
  • デルタスター始動方式
  • 船用モーター
  • 液中モーター
  • ハイスリップモーター
  • ゲードモーター
  • キャンドモーター
  • 極低温環境下で使用するもの
  • インバーター駆動専用設計で他力通風形のもの
    (インバーター駆動専用のもののうち、基底周波数が60Hz(50Hz)±5%以内のもの以外)

 

トップランナーモーターは、以下の点に注意する必要があります。

 

  1. モーターサイズが現行機より大きくなる場合があります。
    取り合い寸法、据付時の周囲機器との干渉をご確認ください。
    特に現行機が開放形モーターの場合は、センターハイトが高くなる可能性もあります。











    旧型モーター(開放型モーター)


    トップランナーモーター(IE3)




  2. モーターの定格回転速度が高くなる傾向にあります。
    現行のポンプ、ファンなどをそのままの負荷でリプレースする場合、速度増加に伴い、
    動力が増加し、電力消費量が増加する傾向になります。



  3. 始動電流が大きくなる傾向にあります。
    これに伴い、配線用遮断機、電磁開閉器などの適正化を検討する必要があります。
    その他のモーター、周辺機器についても同様に実施されることをお薦めします。


  4. モーター発生トルクが大きくなる傾向にあります。
    減速機などと直結しているような場合は、機械強度の適正化をご検討ください。

  5. 低始動電流仕様のモーターの製作ができなくなります。
    スターデルタ始動、減電圧始動への変更をご検討ください。

 

上記のような対応ができない場合は、
モーターオーバーホールなどで、継続使用をおすすめします。

お気軽にお問い合わせください。

 

お問い合わせ