回転機器の軸受を中心に、機構部のアンバランス・ミスアライメント(据え付け不良)・軸の曲がりや
偏摩耗、振動値を測定・解析することにより、
設備診断をおこないます。

精密振動解析(軸受診断)

設備の劣化兆候、異常原因を推測します

設備の劣化兆候、異常原因は振動を測定することで把握できる場合があります。


回転機器のベアリング(軸受)を中心に、
機構部のアンバランス・ミスアライメント(据え付け不良)・
軸の曲がりや偏摩耗などの異常を
振動を測定することにより、設備診断をおこないます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • STEP
    振動測定

    運転時の振動を測定しますので、設備を止めることができない場合でも診断が可能です。

  • STEP
    振動生波形

     

     

    測定した振動生波形にはさまざまな要素が含まれた状態のため、このままでは解析することができません。

  • STEP
    周波数解析

     

    振動の生波形を処理することにより、ベアリング(軸受)などの異常かどうかを検証することができます。

 

回転機械から発生している音や振動は、色々な種類の振動が混じり合った状態です。

 

これらの振動を専用の測定機器で測定し、混じり合った波形を分解することで
どのような異常があるかを診断することができます。

 

周波数解析では『エンベローブ処理』と『高速フーリエ変換(FFT)』と呼ばれる処理をおこなっています。

 

エンベローブ処理は検波処理とも呼ばれ、高い周波数の振動が周期的に変動する場合に、
変動する周期のみを求める方法で、ベアリング(軸受)診断には重要な処理です。

 

高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)とは、フーリエ変換を効率的に早く行う手法です。
フーリエ変換とは、その振動波形にどの周波数成分が含まれているかを分析する手法です。

 

エンベローブ処理された波形を高速フーリエ変換することで、ベアリング診断をおこなっています。

 


生波形

 

エンベローブ処理後

 

高速フーリエ変換(FFT)後

 

高速フーリエ変換については、ページ後半にてご紹介しております。

 

精密診断と診断項目について

 

対象機器の診断モード毎に決められた診断ルールに基づいた、精密診断を行います。
診断したい内容によって、「速度モード」と「加速度モード」を使い分け測定します。
周波数が低いほど変位の感度が高く、周波数が高いほど加速度の感度が高くなるためです。

 

ベアリングを診断するには・・・

加速度(ENV)モードで、
内輪キズ、外輪キズ、天動体キズ、保持器欠陥などを診断

機構部などを診断するには・・・

速度モードで、
アンバランス、ミスアライメント、軸曲がり、
架台剛性不良、軸摩耗、据え付け不良などを診断

モーターを診断するには・・・

加速度モードと速度モードで、
高調波振動や電源不平衡を診断

 

※ 高調波振動とは、巻線の不平衡、回転子の曲がりなどにより磁束に不平衡が発生することにより、

固定子と回転子の磁気吸引力が変化し結果振動する場合があります。

 

 

 

 

加速度
(T/OA)

加速度
(ENV)

速度 診断内容
機構部 - -

・アンバランス
・ミスアライメント
・軸曲がり
・架台(ベース)剛性不良
・取付ボルトの緩み、据付不良

ベアリング - -

・玉傷
・外輪傷
・内輪傷

ギア -

・片当たり
・軸芯ずれ
・歯の摩耗
・局所異常

モーター -

・高調波振動
・電源不平衡

 

 

よくあるご相談内容
  • 異音や振動が発生しており、修理を依頼するか検討される場合
  • 将来の工事計画を立てる際、どのモーターから優先的に整備すべきかを検討される場合
  • 定期的に診断・測定し、傾向観察されたい場合
  • ベアリングが悪く異音がするのか、全く見当がつかない場合

 通常、設備は効率が最大になるように設計されていますが、
劣化が進むと効率は低下し、損失するエネルギーが増大します。

 

設備保全では運転中の設備で、振動・音響・熱・歪みなどの損出するエネルギーを定量的にとらえ、
設備の使用限界の判定をおこないます。

 

そのうちの振動を測定し、解析することで設備の異常を診断していきます。
運転中の振動を測定しますので、設備を止めることができない場合でも可能です。

 

精密診断報告書について

弊社では振動データ管理システムを使用し、精密に解析し
下記のような報告書をお渡しいたします。

 

 

設備の寿命または信頼性を定量的に予測し、最も経済的な設備保全が実現可能となりますが、
非破壊検査という特性上、必ずしも正確な結果が得られるということではありません。
定期的なオーバーホールを推奨します。

 

「設備の状態を運転中に科学的手法でとらえ、
内部に発生している異常箇所・原因・部位を明らかにし、具体的対策を立てて修正する技術」です。

精密軸受診断をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

 

お問い合わせ

 

 

 

 

 

※弊社の振動データ管理システムはJFEアドバンテック製 MK-210HEⅡ を使用しています。

 

 

 

 

振動の種類と解析方法
振動の種類

振動の基本的な形は、単振動で「振幅・周波数・位相」の3つの要素の合成波から成り立っています。

 

振幅 振動の大きさ
周波数 1秒間に何周期の振動があるのか
位相 振動している箇所が他の箇所に対して、どのような位置関係にあるのか

 

D:変位、A:振幅、ω:角周波数、θ:位相、f:周波数、t:時間

 

 

振動のパラメータ

振動を測定するにあたって、変位・速度・加速度の3つのパラメータがあります。

 

周波数が低いほど変位の感度が高く、周波数が高いほど加速度の感度が高くなるため、
周波数が高くなるに従い、変位・速度・加速度の順にモードを選ぶのが有効な測定法です。

 

 

 

なぜ周波数によって、変位と速度、加速度を使い分けるのですが?

 

周波数(f[Hz])の値が高くなると、ω(角速度)の値が大きくなり、
速度や加速度の感度が高くなるからです。(ω=2πf)

 

また変位と速度と加速度が、微分積分の関係になっていることもポイントです。

 

変位と速度と加速度の式は、微分・積分の関係になっています。
(変位を時間tで微分すると速度、速度を時間tで微分すると加速度)

 

変位と速度と加速度の関係式

 

 

変位Dは、英語で変位を意味する「Displacement」の頭文字
速度Vは、英語で速度を意味する「Velocity」の頭文字
加速度Aは、英語で加速を意味する「Acceralation」の頭文字から
それぞれを「A」「V」「D」と表すことが多いです。

 

 

 

上記の変位の数式より、ω(角速度)の値は、sin関数の中に入っているため、
ωが大きくなっても、変位の値は大きく変わりません。

 

 速度や加速度の数式では、sin関数やcos関数の前にωの値があり、
速度ではω、加速度ではωの二乗として値に影響します。

 

 そのため周波数が高くなるにつれ、速度や加速度の感度が良くなります。

 

このことから、当社ではベアリング診断(軸受診断)の際には加速度モード、
その他の不良を解析する際には、速度モードと加速度モードを併用して診断いたします。

 

 

 

低周波数領域
 5Hz~1kHz程度

偏平軸
ミスアライメント
軸の曲がり
バランス不良
据付不良
オイルウィップ
スチールホワール

2fr
fr 2fr 3fr
fr 2fr 3fr
fr
fr
1/2fr以下
1/2fr以下

1kHz~20kHz程度

転がり軸受損傷
クラック

高周波数領域
 5kHz~20kHz程度

転がり軸受損傷
キャビテーション
ギヤ損傷

fr:回転周波数

 

 

振動パラメータ 異常の種類
変位

変位量または動きの大きさそのものが問題となる異常
回転機械の軸振れ
(ゆっくりとした動きのため、目で見て確認できる)

速度

動きの大きさと、その繰り返し回数(疲労度)が問題となる異常
回転機械の振動
(目では見えないが、触れると振動していることが分かる)

加速度

衝撃力などの力の大きさが問題となる異常
軸受の損傷などによる、振動歯車の損傷による振動
(手で触れても分からないが、異音として確認できる)

 

 

振動測定の方向

 

振動を測定する場合は、基本的には
負荷側・反負荷側の「軸方向・垂直方向・水平方向」を測定します。
組立・据え付け不良によるアンバランスやガタつきなどによる「低周波振動」にそれぞれ特有の方向があるためです。

 

振動の方向 異常の種類

軸方向(A)
Axial

ミスアライメント

垂直方向(V)
Vertical

固定ボルトの緩み、取り付け不良によるガタツキ

水平方向(H)
Horizontal

回転体、回転子の偏心アンバランス、基礎(ベース)の剛性不良
全方向

軸受の損傷
(軸受不良の場合は、3次元にて振動が伝搬するため)

 

上記の方向による判定は、横置きモーターを見本としています。
機器または測定箇所の剛性により上記以外の要因となる場合もあります。

 

振動波形と高速フーリエ変換

測定された波形から、特定の周波数がどの程度の割合で含まれているかを調べることで
機械内部のどの部分に問題があるのかを推測することができます。

 

 振動周波数解析には、高速フーリエ変換(FFT)が一般的に用いられています。
測定した振動波形を高速フーリエ変換し、その周波数成分から内部の異常箇所を推測することができます。
(周波数スペクトル推定方法)

 

 

 

高速フーリエ変換とは

一般的な振動波形には、さまざまな周波数の波形が含まれていますが、

 

その波形を、高速フーリエ変換(FFT)し、単調な正弦波(sinカーブ)に
分解し、周波数ごとにまとめることで、どの周波数成分が含まれているかが分かります。
その周波数をまとめることにより、

 

 ・内輪に傷、外輪に傷
 ・玉(コロ)に傷
 ・保持器に欠陥

 

などの情報を得ることが可能となります。